鬼龍院翔の「Love Days」MVを見ていたら、自分がリアコしていたときのことが蘇ってきて気づいたら号泣してた。
俳優のオタクをしてた頃、いま思えばリアコだった。当時、本気で気が狂ったかと思うほど好きで、好きすぎて公演の前アナで声を聞くだけで号泣したり、彼のブログのコメントに長文ポエムを書いてオタクの掲示板に悪口を書かれたりしてた。いま思うとウケるけど、当時は真剣すぎて悪口を書かれて病んだりしてた。
他にも、彼の出身高校の制服をメルカリで買おうとしたり、彼の地元に旅行へ行こうとしたり、彼の地元の友人のツイッターをフォローしたりとにかく狂気エピソードは枚挙にいとまがない。ちなみにこれはストーキング行為なので良い子のみんなはやめてほしい。ていうか法には触れてないです私も。ギリギリなところで理性が保つのが私の悪い癖(?)で、やろうとしてやめたことは死ぬほどあるけど実行に移したものはあんまりない。
実際やってたことといえば、同担が嫌すぎて同担全員の顔を覚えるべく自撮りを晒していないか同担のアカウントをすべて確認したり、当時一番強かったオタクツートップとなぜか金のないただの芋高校生の私が仲良くしていたり。いま覚えば「なんでお前それできたんだよ」なことも多少はある。
とにかく彼のことしか考えられなかった。本気で結婚したかったよ。会話した内容くだらないことも全部覚えてるし、認知してもらって結構経った後たまに話しててくだけて関西弁になるのがうれしかった。好きすぎて、目の前にいられると気持ち悪くなるから目をそらしてばかりいて変な子扱いされてるのも知ってたけど。
でもさ、これぜんぶ、ぜんぶ、一方通行だからほんとにきもいんだよね。少しラインを見誤ったら犯罪になっちゃうんだよね。リアコって恥ずかしい。リアコは身の程知らずで、脳内お花畑で、他のオタクに迷惑をかける、きしょいやつ。たぶん、オタクのなかではリアコに対する認識ってそういう感じで、それは間違ってない。
だって、みんなで力を合わせて応援して人気になってもらおうってなってんのに恋しちゃったらリアコは同担みんな嫌になっちゃうし、"観る側"のオタクが見られようとしたらやっぱり掟破りなんだよね。だから村八分にされる理由もわかる。
………それでも恋ってそういうもんだよね。そう思ってしまうのはリアコだったからなのか。身の程知ってる恋しか無いんだったらロミオとジュリエットなんて生まれない。恋したら近づきたい。触れ合いたい。双方向の感情がほしい。他人の迷惑なんて省みてたら、自分の恋は一生成就しない。脳みそは常に相手のことでいっぱいでそれをとりまく環境とか自分の立ち位置とか友だちのこととか一切合切抜け落ちちゃう。
恋ってそういうものだけど、リアコは哀しいかな、そういうこと全部がただのキモい女の戯言にしかならない。ロミオとジュリエットとはまた別の悲劇。ロミオとジュリエットがあんなに美しいのは相思相愛だからなのかもしれない。もしロミオがジュリエットに嫌がられてるのに一方通行で恋していて勝手に自殺してたら現代だったらキモメンヘラ扱いになるよ(一部には需要ありそうだけど)。
近づきたいって思っても、オタクと舞台人っていう役割が明確に確立されてるところで出会っちゃったら、その役割から外れることってできなくて、外れようとすることはルール違反で。しかも舞台人のほうがルール違反して夢を捨ててまで恋をとることもないだろうし。そもそも、オタクってリアルから離れてカタルシスを得るためにオタクやってるみたいなところがあるのにそこでまたリアルに恋してたら可笑しいんだよね。滑稽。周囲から見たら滑稽なんだよねこれがまた。いや、絶対無理なのに何言っちゃってんの、ばかなの?って。近寄ろうとすんなよお前オタクなんだから。って。
でも、絶対無理なのは本人が一番わかってる。離れてたほうが幸せなのもわかってる。わかってるけど気持ちが止まらなくてコントロールがきかなくてさながら暴れ馬になって、周りにぶつかってぶつかって自分も周りも傷つけて、それでスピード落とすしか止まる方法がない。
しんどいね。笑われて、叶わなくて、苦しくて、諦めたくてもオタクっていう役割だけは残ってるから、関係は崩れない。自分からえんがちょってやんないと離れられないから、相当の理性があるか、暴れ馬になったときに犯罪をやらかすかしかないよね。
やっぱり、リアコってしんどいね。でもそういう恋っていいなあと思ってしまう。どうしても。そういうときの女の子ってなんだかこころの芯にくるような言葉を吐くし、どろどろの傷がつくだけの恋も、立派な恋のひとつなんじゃないかと、Love DaysのMVを見ていて思ってるよ、私は。そんな意図で作られてるかわからないけど・・・・。あれリアコ経験者涙無くして見られないと思うけどな!
盲目的でまともじゃなくて、人に笑われてしまうようなだっさださの好きでも、笑われながら、傷ついて泣きながら恋をしてほしいな。リアコじゃなくて現実で恋愛してる人たちも、みんなほんとはそうやってダサくなりながら好きになってるんだから。他のみんなみたく、他人から見たら滑稽な好きをうまく隠せないリアコオタクたちが、いとおしい。ださくて笑えるけどいとおしいと、思って泣けていたという話。